ショットピーニングとは?めっき加工との違い
ショットピーニング | めっき | |
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特徴 | 金属ワークの表面に無数の粒子を衝突させて、その衝撃によって表面の性質を変化させる。 |
任意の金属素材を使用しためっき液にワークを浸し、ワークの表面に薄い金属皮膜を析出させる。 |
メリット |
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デメリット |
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ショットピーニングは投射材と呼ばれる無数の粒子を金属ワークの表面に射出して、投射材がワーク表面に衝突した際に生じる無数の凹みによって、疲れ強さを高めたり耐摩耗性を向上させたりします。そのため金属被膜のめっき層を構築するめっき加工とは本質的に異なる表面加工技術です。
ショットピーニングの特徴
ショットピーニングとは
ショットピーニングとは、対象となる金属部品や金属材料といったワークの表面に、無数の粒子(投射材)を高速で衝突させることで、ワークの表面に衝撃を与えて性質を変化させる表面加工技術の1つです。
投射材がぶつかったワークの表面には衝撃で大量かつ細かい凹みが生じますが、この凹みによって表面の強度や硬化が向上し、疲れ強さが増したり、耐摩耗性が上昇したりといった特性を得られます。
投射材には鉄製の粒子から、非鉄金属の粒子、あるいはガラスといった色々な素材が利用されており、対象となるワークの性質や相性によって選定されることも特徴です。
ショットピーニングの種類
ショットピーニングの種類は、主に利用する投射材の種類や性質によって複数に分類するとわかりやすいでしょう。
ショットピーニングの投射材として利用される素材には、例えば以下のようなものがあります。
- 鉄(スチールショット):鉄製の投射材で一般的に利用される
- マイクロショット:スチールショットよりも微小サイズの投射材
- ガラスビーズ:ガラス製の投射材で軽度なショットピーニングに効果的
- ジルコニアビーズ:ガラスビーズよりも破砕しにくい
- アモビーズ(アモルファスショット):高硬度の投射材で長寿命
また、その他にも異なる大きさの投射材を順番に利用する多段ショットピーニングや、高温下での温間ショットピーニングなど、ショット条件で分類されることも特徴です。
ショットピーニングのメリット
化学変化・熱影響を受けやすい素材に使える
ショットピーニングは化学薬品に浸したり高熱を与えたりしなくて済むため、化学変化や熱影響を受けやすい素材に対しても比較的安定した表面加工効果を得られることがメリットです。
また疲れ強さを高めて、耐摩耗性や耐久性、耐応力腐食割れ特性などを向上させられる点は見逃せません。
ワークとの相性でさまざまな製品に加工できる
使用する材料も投射材が中心となり、ワークとの相性次第で幅広い部品や製品に表面加工を施すことが可能です。投射材の種類としても鉄や非鉄金属、ガラスなど複数の素材を利用したものがある上、投射材のサイズや衝突速度、ショット環境などを変化させることで加工の仕上がりを調節できることは強みです。
ショットピーニングのデメリット
表面に凹みが生じやすい
ショットピーニングのデメリットとして、まず表面に投射材が衝突した衝撃で無数の凹みが生じることが挙げられます。そのため、ショットピーニングでは表面が粗めに仕上がったり、均一な表面品質を得にくかったりといったデメリットがあります。
投射剤との相性次第で破損が生じる
その他にも、ワークと投射材の相性が悪ければ、ワークが衝撃によって削れたり破損したりといったリスクもゼロでありません。また加工会社によって対応可能なショットピーニングに差があることも考えられます。
めっき加工とショットピーニングの違いを理解しよう
めっき加工はワークの表面に任意の金属被膜を析出させて、めっき液に含まれる金属素材の特性などをワークに付与できることが強みです。一方、ショットピーニングは投射材をワークにぶつけて、ワークそのものが持つ素材特性を強化・向上させることを目指してます。そのため、めっき加工とショットピーニングはどちらも表面加工の1種ですが、本質的に目的やシステムが異なっている点を理解しなければなりません。
めっき加工とショットピーニングにはそれぞれメリット・デメリットがあり、自社のニーズや課題に照らし合わせて適切な加工法を選ぶことが大切です。
以下では、めっき加工の相談事例や課題解決例を解説していますので、ぜひ参考にしてください。
当サイト「めっきのめ」の取材協力について
めっきのプロにめっき加工のイロハを教えていただきました!

日本電鍍工業株式会社
電気めっき業界の組合、「全国鍍金工業組合連合会(全鍍連)」にて、令和4年度に優良環境事業所の認定を受けためっき加工メーカー。
SURTECH 2023 表面技術要素展では大阪を代表して出展。クライアントの課題を解決するだけでなく、めっきの研究部門を創設し、技術向上に励むめっきのスペシャリスト。
「めっきのめ」編集チームより