ジオメットとは?めっき加工との違い
ジオメット | めっき | |
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特徴 | 金属製品の表面に金属フレークの積層被膜構造を構築し、防錆効果を始めとして耐熱性などを付与する。 |
金属成分を含有するめっき液に対象ワークを浸し、その表面に金属被膜を析出させる表面加工処理。 |
メリット |
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デメリット |
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ジオメットの特徴
ジオメットとは
ジオメットとは、対象となる金属素材(ワーク)の表面に微細な金属フレークを重ねた積層構造を形成し、それを無機バインダーで結合して表面を覆うことで、ワークの耐食性を高める防錆表面加工処理です。完全クロムフリーの水系薬液を利用することで環境汚染のリスクにも配慮されており、持続可能な社会において環境負荷を抑える表面加工技術として幅広い分野で利用されています。
ジオメットは様々な金属に対して加工できる防錆処理であり、鉄やステンレス、アルミ、焼結金属といった色々な素材に適性があることも特徴です。
ジオメットのメリット
アルミニウムに対する保護効果(ガルバニック腐食防止効果)
ジオメットによって形成された金属被膜は腐食電位がアルミニウムに近くなっており、アルミニウムに接した際の電位差によって生じるガルバニック腐食を防止する効果に優れています。
そのため通常の防錆目的だけで利用するのでなく、異種金属接触腐食についての耐食性の追求も考えられる点がメリットです。
完全クロムフリーで環境負荷を抑えられる
従来のめっき加工の中には作業員や環境に悪影響を与える成分が配合されている場合もあり、労災リスクや環境問題への観点から課題として検討されてきました。
一方、ジオメットは完全クロムフリーの表面加工処理となっており、安全性や環境保護にも優れていることが特徴です。
処理後の表面塗装なども行える
ジオメット処理を行った上で、粉体塗料やメラミンアルミキッド塗料を使ったペイント処理を施すことができます。
ジオメットの形成被膜はシルバーメタリックの外観になっており、装飾メッキのようなカラーリング処理には不向きながら、塗装による装飾性の向上が可能です。
ジオメットのデメリット
酸性の環境にさらされると耐食性が低下する
ジオメットは耐熱耐食性に優れた防錆加工である反面、酸性環境には弱く、酸性の液体などに触れることで耐食性が低下してしまうというデメリットがあります。
被膜が柔らかいため傷が付きやすい
ジオメットは金属フレークの積層構造によってワーク表面をカバーするため、密着性が高く優れた防錆性能を発揮できる一方、各層は柔らかく傷がつきやすいという欠点があります。そのため、外観的に傷が認められやすいことはデメリットでしょう。
また、単純に装飾性能を追求するのであれば亜鉛めっきなどの方が優れています。
全ての表面加工業者で依頼できるとは限らない
ジオメットは亜鉛めっきなどと比較して新しい技術であり、日本国内にある表面処理加工の業者の中にはジオメット未対応の業者もあるでしょう。そのため、近隣エリアで対応可能な加工業者が見つかりにくい恐れも考えられます。
ニーズに合わせて加工方法を選択する
ジオメットはクロムフリーの表面加工であり、環境に配慮しながら金属素材の防錆性能を高められる点で優れています。
反面、ジオメットは酸性に弱く、装飾性でめっき加工に劣るといったデメリットもあります。まためっき加工でもめっき液を工夫することで幅広い素材へ防錆処理を行うことが可能です。そのため、絶対にジオメットでなければならない条件を除けばめっき加工で対応できるケースは多そうです。
以下のページではめっき加工についての様々な相談事例を紹介しています。ジオメットとめっき加工の比較検討の参考としてご活用ください。
当サイト「めっきのめ」の取材協力について
めっきのプロにめっき加工のイロハを教えていただきました!

日本電鍍工業株式会社
電気めっき業界の組合、「全国鍍金工業組合連合会(全鍍連)」にて、令和4年度に優良環境事業所の認定を受けためっき加工メーカー。
SURTECH 2023 表面技術要素展では大阪を代表して出展。クライアントの課題を解決するだけでなく、めっきの研究部門を創設し、技術向上に励むめっきのスペシャリスト。
「めっきのめ」編集チームより