粉体塗装とは?めっき加工との違い
粉体塗装 | めっき | |
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特徴 | 対象の表面に乾燥した粉末状の塗料を吹き付け、加熱や紫外線照射によって硬化させて対象物を塗装する焼付塗装の1種。 |
任意の金属を含んだめっき液に対象物を浸して、対象の表面に薄い金属皮膜を析出させて様々な特性を付与する。 |
メリット |
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デメリット |
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任意の金属の性質を付与するめっき加工と異なり、粉体塗装は文字通り素材の表面を塗装するための技術です。また、粉体塗装ではインクやペンキといった塗料を使うのでなく、乾燥粉末の塗料を吹き付けて、それを高熱で溶かして焼き付けたり紫外線で硬化させたりすることで塗装を仕上げる点が特徴です。有機溶媒を使った塗料やめっき液を使用しないため、ドライな状態で表面加工処理を行うことができます。
粉体塗装の特徴
粉体塗装とは
粉体塗装は、パウダーコーティングとも呼ばれる加工法で、有機溶媒を含んでいない乾燥した粉末塗料を対象物の表面に吹き付け、それを加熱して再乾燥させたり、紫外線を照射して硬化させたりすることで素材表面に塗膜を形成する技術です。高温で加熱して処理する過程から焼付塗装の1種に分類されます。
粉体塗装の塗料にはポリエステルなどを含有した熱硬化性を持つものと、ナイロンなどを含有した熱可塑性を持つものがあり、さらに様々な添加剤などを合わせて構成されていることが特徴です。そのため水やオイルなどの溶媒を含まず、環境への負荷を軽減できます。
粉体塗装の種類
粉体塗装には主として静電粉体塗装法、流動浸漬法、そして両者を組み合わせた静電流動浸法などがあります。
- 静電粉体塗装法:熱硬化性粉体塗料をワークへ吹き付けて加熱、塗装する。
- 流動浸漬法:圧縮空気で流動化した熱可塑性粉体塗料の中に熱した対象物を入れる。
- 静電流動浸法:粉体塗料の流動層の上部に対象物を設置し、流動層へ浸すことなく浮遊した塗料粒子による浮遊層の中で対象物へ電気的に塗料を付着させる。
粉体塗装のメリット
粉体塗装のメリットとして、塗膜を厚く形成することで耐久性を高められるというものが挙げられます。また塗装が剥がれにくく美観を維持しやすい点もメリットです。
加えて、粉体塗装では水やアルコールといった溶媒を使用しないため、溶媒を揮発させる工程が必要ありません。そのため有毒ガスが発生したり、周辺に溶媒が漏出して環境汚染を引き起こしたりするリスクを回避できます。
その他、対象物に付着しなかった粉体塗料は回収して再利用しやすいことも特徴です。そのためコストパフォーマンスにも優れており、従来の溶剤型塗装と比較して安価で作業できるといったメリットもあります。
粉体塗装のデメリット
粉体塗装はその性質上、現場でペンキやインクを塗って仕上げるといった作業ができません。また加工には専用設備が必要であり自社導入には初期コストがかかるうえ、対応できる加工会社が限られている点もデメリットです。さらに袋構造や複雑な形状に対しては塗装ムラが発生することもあります。
また、高温や静電気といった性質を利用するため、熱に弱かったり絶縁性を有していたりする素材には不向きです。
その他、粉塵爆発を防止するために十分な安全対策を講じなければなりません。
目的に合わせた表面処理加工を洗濯しよう
粉体塗装はランニングコストに優れており、環境負荷の軽減にも貢献できるなど様々なメリットがありますが、そもそもの目的は対象物の表面塗装加工です。めっき加工のように導電性を付与するなど、使用する金属元素の特性に合わせた効果を付与する目的には適していません。また粉体塗装とめっき加工は専用の設備や工程が異なるため、外注する際はそれぞれの加工実績を有している会社を選ぶ必要があります。
そのため、めっき加工と粉体塗装の違いや特性を理解し、ニーズに合った加工法を選択することが大切です。
以下のページではめっき加工の相談事例を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
当サイト「めっきのめ」の取材協力について
めっきのプロにめっき加工のイロハを教えていただきました!

日本電鍍工業株式会社
電気めっき業界の組合、「全国鍍金工業組合連合会(全鍍連)」にて、令和4年度に優良環境事業所の認定を受けためっき加工メーカー。
SURTECH 2023 表面技術要素展では大阪を代表して出展。クライアントの課題を解決するだけでなく、めっきの研究部門を創設し、技術向上に励むめっきのスペシャリスト。
「めっきのめ」編集チームより