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めっきホイールとアルミホイールの違い

自動車のホイールでは、鉄に表面処理加工としてめっきを施した「めっきホイール」と、素材金属として軽量なアルミニウムを使用した「アルミホイール」がそれぞれ使用されています。めっきホイールの種類やアルミホイールの特徴などをまとめました。

目次

ホイールに加工するめっきの種類

クロムめっき

自動車のめっきホイールでは、鉄に硬質クロムめっき(工業用クロム)を用いたクロムめっきホイールが人気のジャンルになっています。

硬質クロムめっきは無水クロム酸(三酸化クロム)を主成分としており、硬度や耐摩耗性、そしてデザイン性などに優れていることが特徴です。

メリット

硬質クロムめっきはめっき被膜が厚く、耐摩耗性や耐候性などに優れていることがメリットです。また耐食性にも優れているため、濡れた路面などを走る車のホイールとしても有用です。加えて優れた光沢によるデザイン性も見逃せません。

デメリット

コストがかかりやすく、めっき厚みの品質を高めるためには専門の設備やノウハウも必要となります。そのため技術者や加工業者によって、めっき加工の仕上がりが変わってしまうことがデメリットです。

真空蒸着

めっき液へホイールを浸して表面処理加工をするめっき加工に対して、真空蒸着は高温で気化させた金属元素を対象物へ触れさせて対象の表面に金属被膜を形成させる点が特徴です。そのため真空蒸着は乾式めっきとも呼ばれます。

メリット

真空蒸着は金属や非金属を問わず、様々な素材を対象物として表面加工を施すことが可能です。また真空蒸着は高品質なめっき被膜を形成しやすいこともメリットであり、クロムめっきよりもめっきの仕上がりを安定させやすいといえるでしょう。

デメリット

真空蒸着は真空中で対象を加工する必要があり、そのため真空環境で作業するための設備が必要です。またその設備で処理できる範囲の対象物しか加工できず、大サイズのホイールなどについては対応が難しくなります。その他、クロムめっきよりも剥がれやすい加工です。

めっきホイールとアルミホイールの性能について

外観

クロムめっきは強い光沢を有しており、また真空蒸着などに関してもカラーバリエーションを選びやすくなります。一方、アルミホイールもポリッシュ加工やめっき加工によって美しい金属光沢を獲得可能です。ただしアルミ素材のめっき加工は通常のめっきホイール製造よりも高難度になります。

強度

めっきホイールは鉄を素材にしているのに対して、アルミホイールはアルミニウムが素材であり、金属としての強度を比べれば鉄の方が高強度です。ただしアルミホイールも強度を高めるためアルミの重量を増やしたり、強度を向上させる加工が施されたりすることもあります。

耐久性

耐久性と強度は相関性があり、耐久性についてもめっきホイールの方が高いといえるでしょう。ただしアルミホイールの中にも耐久性を高めるように設計されたものがあります。なおデザイン的な耐久性についてはクロムめっきの方が真空蒸着よりも優れています。

燃費

アルミホイールのメリットが軽量さであり、基本的に車は軽い方が燃費性能は高いと言えるでしょう。ただしアルミホイールの強度を高めるために高重量の仕様となっていることもあり、実際にはホイールのジャンルだけで燃費を比較することは困難です。

ホイールのめっき加工で機能性向上

鉄をそのまま自動車のホイールに使ってしまうと、すぐに錆びて安全な走行を叶えられなくなります。しかしクロムめっきや真空蒸着などを施すことでアルミホイールのように耐食性を向上させたり、美しい外観を叶えたりできることが重要です。

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