筒状のものにめっきはできますか?
筒状のパイプや製品にめっき加工を施したいといった場合、選択する方法や依頼する業者によっては、「内側にはめっきを付けることができない」と言われるケースがあります。ここでは、一般的に難しいとされている筒状のものへのめっき加工について情報をまとめてみました。

筒状のものにめっきをする場合の注意点とは
筒状のものは、内側へのめっきが難しい
電流を用いてめっきを施す電気めっき。これは金属を溶かし込んだ液中に対象物を浸漬させ、電子と金属イオンによって皮膜を生成する方法ですが、筒状の製品の場合は内部に電流が行き届きにくいのが特徴。つまり、めっき皮膜の厚みが薄くなる傾向にあるのです。場合によっては、めっき皮膜自体を形成できないこともあります。
内側にめっきできないとどうなる?
筒状の製品の内側にめっき加工を施せない場合、腐食に対する耐性が低くなります。水や酸素、酸やアルカリといった成分に対する防御力が弱くなり、長期間使用しているうちに錆びなどが発生する確率が高まるのです。
しかも、筒の内部は目が届きにくいため、知らず知らずのうちに腐食が進行し、発見・対処が遅れてトラブルにつながるといったケースも少なくありません。
筒状のものにめっきをする方法とは
それでは、筒状の製品の内側に十分なめっきを施すことは不可能なのでしょうか?実は、電気めっき以外の方法を用いれば可能となります。その方法のひとつが、無電解ニッケルめっきです。
無電解ニッケルめっきは電気を使用せず、化学反応を利用して素材表面にめっき皮膜を析出させる方法。対象物がめっき液に触れていればめっきが析出するため、筒状製品の内側であっても均一なめっき皮膜を形成することができるのです。内側にめっきを施すことで腐食のリスクを低減でき、品質や利便性の向上が期待できるようになります。

取材協力:日本電鍍工業株式会社
筒状には無電解めっきが◎
筒状に使用するめっきは電気めっきが多いのですが、電気が帯電するのは外側だけで、内側は帯電しません。これにより、電気めっきは内側にはつかないのですが、無電解めっきは表面で電気のやりとりをするので可能です。
筒状の大きさや形状でやり方も変わってくるので、まずはどういった筒状の素材なのか、どういう効果を得たいかを含めてご相談ください。
当サイト「めっきのめ」の取材協力について
めっきのプロにめっき加工のイロハを教えていただきました!

日本電鍍工業株式会社
電気めっき業界の組合、「全国鍍金工業組合連合会(全鍍連)」にて、令和4年度に優良環境事業所の認定を受けためっき加工メーカー。
SURTECH 2023 表面技術要素展では大阪を代表して出展。クライアントの課題を解決するだけでなく、めっきの研究部門を創設し、技術向上に励むめっきのスペシャリスト。