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アルミニウムめっき加工の基本構造

アルミニウムめっき処理により発生する層とは

鉄などの母材に対してアルミニウムめっき加工を施した場合、母材の鉄とめっき皮膜であるアルミニウムとの間(界面)に、鉄とアルミニウムの元素が混合された合金層が生成されることもあります。

そのため、アルミニウムめっき処理によって発生する層構造は以下の4層になります。

界面合金層

界面合金層とは、母材とめっき被膜の境界にある層であり、母材の金属元素とめっき層の金属元素が融合して合金層を形成していることが特徴です。

例えば溶融アルミニウムめっきによって鉄鋼材へめっき処理を行う場合、高温で溶融されたアルミニウムが鉄鋼材へ接触することで「鉄-アルミ合金」が界面層へ発生します。

なお、Fe-Al合金層は炭素鋼の場合、舌状組織によって母材と密着しており、通常であれば50μm~200μmほどの厚みとなります。

また界面合金層は耐摩耗性や耐食性、耐熱性などの向上に関係することもポイントです。

めっき層(アルミニウム層)

溶融アルミニウムめっき加工でめっき処理をした場合、母材に対して溶融したアルミニウムが被膜を形成し、めっき層を構築します。またアルミニウムのめっき層の熱さは20μm~100μm程度となり、めっき被膜の厚さによってめっき加工後の鋼板などの特性が変化することも重要です。

そのため、めっき品質を向上させるためには、任意の厚みを均一に付着させて被膜を形成する技術が大切となります。

表面酸化皮膜

アルミニウムめっき加工を施して、母材の表面にアルミニウムめっき層を形成した場合、大気中の酸素とめっき層のアルミニウムが反応して、自然に酸化被膜(酸化アルミニウム被膜)を形成することもポイントです。

この表面酸化被膜によって、めっき層及び界面合金層や母材層は酸素と接触することがなくなり、優れた耐食性を獲得することが可能となります。

各層が製品特性に与える影響

耐食性

溶融アルミニウムめっき加工後の耐食性は、表面酸化被膜層・めっき層・界面合金層の、母材を除いた3層によって機能性が高められます。

また酸化被膜が剥離した場合も、改めて露出しためっき層のアルミニウムが再び酸素と反応して酸化被膜を生成することも重要です。

機械的特性

界面合金層はアルミニウムと母材の接合によって発生するため、密着力を高めるために働きます。また、合金層として優れた強度を獲得するため、本来は柔らかいアルミニウム層と比較して高強度となり、耐摩耗性など機械的特性を高められることが肝要です。

熱的特性

アルミニウムの融点はおよそ660度ですが、酸化アルミニウムの融点は約2000度、Fe-Al合金層については鋼材の種類と炭素量によって1160℃程度まで上昇します。

そのため、溶融アルミニウムめっきは高い耐熱性を獲得することが可能です。

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