機能めっきの多い事例を教えてください。
めっき加工によって形成される皮膜の特性を活かし、対象物にさまざまな機能を付与できる「機能めっき」。ここでは、機能めっきでどのような機能をプラスできるのかについて、詳しく解説していきます。

機能めっきで付与できる機能とは
電流の通りを良くする「通電性」
スイッチ・端子・コネクター・回路基板といったものに対しては、通電性を高める、または電気接点をよくするための機能めっきが施されます。めっき材の中で、通電性に優れているのはニッケル・スズ・銀など。ただし、銀は高純度になるほど柔らかく、コストも高くなるため、スズが用いられるケースが多くなっています。
薬品や菌への耐性を高める「耐薬品性・抗菌性」
機能めっきで付与できる化学的特性として挙げられるのは、耐薬品性・抗菌性など。耐薬品性とは化学薬品に対する耐性を付与できるものであり、無電解ニッケルめっきが用いられています。
抗菌性とは、細菌の増殖やそのスピードを抑える性能であり、金属はプラスチックなどに比べてその効果が高いとされています。この性質を利用し、銀めっき・銅めっきなどが利用されています。
硬さや耐久性を高める「高硬度」
対象物の硬度や耐摩耗性(耐久性)などが求められる際にめっきを施すことがあります。シリンダー・シャフト・ロール・ゲージといった部品類のほか、耐摩耗性が要求される金型などにも使用されます。めっきにより高硬度な皮膜が得られますが、硬質クロムは均一な皮膜が形成されないため、めっき後に研磨が必要になる場合があります。
一方で、無電解ニッケルは均一な被膜が形成されるため、平滑な被膜が必要な場合は無電解ニッケルが使用されることが多いとされています。

取材協力:日本電鍍工業株式会社
機能めっきは無電解ニッケルが多く使用されています。
機能めっきでよく使用されるめっきと言えば無電解ニッケルです。多い理由はさまざまあります。精度・耐熱性・硬さ・はんだ付け性など。機能として優れているめっきのひとつと言えます。
また電気ニッケルも優秀なめっきで、下地に多く使われていることも特徴です。クロムで仕上げることが多い金属も、実は下地にはクロムの30~50倍ほどニッケルめっきが使用されていたりもします。
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めっきのプロにめっき加工のイロハを教えていただきました!

日本電鍍工業株式会社
電気めっき業界の組合、「全国鍍金工業組合連合会(全鍍連)」にて、令和4年度に優良環境事業所の認定を受けためっき加工メーカー。
SURTECH 2023 表面技術要素展では大阪を代表して出展。クライアントの課題を解決するだけでなく、めっきの研究部門を創設し、技術向上に励むめっきのスペシャリスト。